【帰り道】にて 古い時間のひとり言
わたしはね 平面じゃない
人はみな多面体
その多面体で
わたしはわたしの万華鏡をつくっている
すごく楽しいじゃない?
料理をする母の手
その動きは
まるでタロットのテンペランス
ずっとずっとあこがれてた
夕餉のしたくのいいにおい
温かいこたつと子犬のぬくもり
わたしがわたしのままでいられた時間
ふりむけば たそがれの世界
仲間達のにぎやかな声が飛び交う
あの約束の合言葉は
「R.B」そして「H.M」
男でも女でもない 何者でもない
命の新芽をみんな大切に抱えてた
わたしの中にはリュウがいる
黒くとぐろを巻いたリュウが
居眠りをしてる
誰かが 不用意にしっぽを踏んだ!
猛り狂ったリュウはもうとめられない
ー ちょっとより道 ー
古い時間が流れていたころ
大人達の影の間から
世界を見上げていました
世界にのばした手にふれるのは
とても冷たい悲しみのなみだ
激しい怒りの火の粉のシャワー
大笑いの爆風
じっとこらえて手を握れば
やがてわたしはふくらんで
ひとつの世界になりました
そろそろ家のあかりが見えてきました。
それではまた・・・